胡座座の勧め

今畳床が少なくなり椅子生活が多くなっているが日本における椅子生活の歴史は浅い。日本における椅子デザインの世界でも世界に通じるものはほとんど小椅子である。筆者は無理に西洋化するのではなく畳座卓世界が持っていた視点の低い落ち着いた生活空間を勧めたい。

筆者の住宅設計の経験でしばし遭遇したことだが夢の新築住宅が叶った時リビングにはフローリングの床に白い大理石のテーブル、黒の革張りのソファーを望む人が多かった。そんな時ソファーは脚一体型を勧めた。なぜなら住まいになれるとソファーを背にして床に直に座るくつろぎかたが多く見られた。やはり日本人畳座がよく似合う。

添付写真は畳のない人のために作った胡座椅子オットマン付きである。注文主はこれにゆったり座りテレビ鑑賞、音楽鑑賞に耽る。

竹を生かす

成長が早く身近に手にすることが多い竹。住まいの中でいろいろ役に立つ竹。そんな具体使用例です。
まず手すり。竹の節は優しく自然に滑り止めになる。写真は階段手すりに用いました。

竹手すり:昇り下りだけでなく方向転換にもアシスト


食卓ペンダントのための腕木。軽く強い竹がしっかりペンダントを吊るす。

室内洋服ハンガー吊り用横木。不使用時には目立って欲しくない横木。竹は自然に空間に溶け込む。

首のデザイン(フォルムにおける)

フォルムデザインに厳しかった柳宗理先生にシゴかれたこと。
筆者20代のとき柳工業デザイン研究会で働かせてもらった。その時の事務所諸先輩から多くのことを学ばさせてもらった。事務所で学んだ中で一番自分にとって大事なものが首のデザインとデザインのオリジナリティ。モノマネは軽蔑される。
首のデザインとは自分が名付けた言い方であるが形態の変化点の大事さをいう。例えばスプーンの先のツボから柄に移る部分。そこがいかに滑らかに自然に変化するかが大事だという事。デザインポイントである。実際試作段階でなんどもダメを出されていた。
それはまた直線から曲線に移るポイントのなめらさでもある。
様々なデザイン製品におけるその昇華の結果が共通の言い方で柳フォルムというものが生まれたのだと思っている。

子供椅子展開 Design by Gen木

洗面四面鏡

このような洗面鏡はどうであろう。3面鏡ならぬ4面鏡。使わない時は鏡の面が閉じている三面鏡、でもちょっと顔を見たい時がある。普段は落ち着いた額縁付き鏡として使用し洗面する時は大きな三面鏡に変わるそんな洗面鏡の提案である。

階段本棚

階段本棚から

我が家には階段箪笥ならぬ階段本棚がある。建物本体は四間四方、一階16坪、二階8坪の床と8坪の吹き抜けからなる二階建。一階階高2,2m、2階は1,85mから最大3.2mの傾斜天井。2階に上がる階段は蹴上19.5㎝の緩やかな直線階段。年寄りには大変具合がいい。若い時の設計では部屋空間を大きく取りたいため階段がいじめられるケースがあるが階段は緩やかに大きく単純形態を取りたい。
その我が家の階段11段のうち一部5段の踏面下を使った文庫本用の本棚である。階段はただ登るだけでなくレベル違いを楽しむ連続椅子にもなりうる。階段の途中に腰掛け階段本棚から気に入った文庫を取り出ししばし読書に耽るのが筆者の楽しみである。